臍の下辺り、布越しに感じる黛の手。まるでオメガ特有の臓器に直接触れられているような感覚がして。ここに子宮があるんだよ、子供産めるんだよ、孕めるんだよ、発情期の時だけここの入り口が緩むんだよ、作ろうと思えば俺の子供も作れちゃうね、とその手だけで黛に言われているような錯覚に陥り、いやだ、やめて、と叫びたくなったが、咥えさせられている指がそれを阻止した。形にならなかった言葉が体内で弾け、体を小刻みに震わせる。

「痙攣してるよ、瀬那。気持ち悪さ通り越して気持ちよくなってるんだね」

「は、あ……」

 見当違いな解釈をする黛に違うと言いたいのに言えずに喘ぐだけの俺の口の中で、ぬらぬらとした舌の輪郭を指でなぞるように円を描いていた黛が、これが好きなんだね、ここが気持ちいいんだね、と決めつけるように喉奥を責める。それだけでも嘔吐きそうになるのに、続けざまに指の腹で舌根を押されてしまってはもうどうすることもできなかった。

 汚い声と共に吐き出されたのは色のない粘ついた胃液。胃の中のものは全部出し切ってしまったのか、そこには何も残っていないことがその液で証明された。

 出すものを出してすっきりしたはずなのに、気持ち悪さが拭えないのは、黛の指が突っ込まれたままだからだろう。彼の指を、脳が吐き出すべき異物だと認識しているのだ。

 それでも、嘔吐いても嘔吐いても、いくら涎を垂らしても、その指だけは吐き出すことができず、何度も喉を突かれる苦痛が俺の気をおかしくさせた。

 まゆずみ。まゆずみ。まゆずみ。やめて。くるしい。おわって。おわって。やめて。まゆずみ。