くたびれ、思うように体を動かせない中、目からは涙、口からは吐瀉物や唾液、下からは俺のものではない他者の生暖かい液体が落ちていく。発情期じゃないし妊娠の心配はないでしょ、とゴムは付けてもらえなかった。最悪だった。最低だった。あの男たちも、父親と同じだった。

 苦痛で、不快で。それなのに、強制された快楽の余韻が残っていて。時折体がビクッと揺れる。快感のコントロールなんてできず、何度も何度も達ってしまった自分が気持ち悪くて仕方がなかった。気持ち悪かったのに、気持ちよくなっていたことが気持ち悪くて仕方がなかった。気持ち悪い。

 吐き気が治まるまで嘔吐き、どうにか落ち着いたところで醜く汚れている重たい体を徐に起こせば、たらたらと下から垂れていた液が多量に流れ出るのを感じた。もう一度、発狂しそうだった。気持ち悪い。虚無感から抜け出したら、また、発狂しそうだった。気持ち悪い。一体どれだけの量を中に噴射させられてしまったのかと想像してしまうと、そのあまりのグロテスクさに治まっていた吐き気が再び押し寄せてきて。おえ、とガラガラに枯れた潰れたような喉の音と共に、口から、既に地面に広がっているものと同じ液体が溢れ出た。

 もう解放されたのに、独りでに、汚れていく。乱れていく。服も俺本体も中身も、全部、全部、一切合切、どろどろに汚れて、乱れて。ぐらぐらと壊れかけた精神が揺れた。吐いたら吐いたまま、泣いたら泣いたまま、憔悴する。唾液を垂らし、吐瀉物が染みていく地面を見ながら、俺は何を思ったのか、そこに、自身の右手の人差し指を使って文字を書き始めていた。動く手を、まるで誰かに動かされているような感覚で眺めていれば、何もなかった地面にひらがなが彫られていく。四文字。ずっと助けを求め、数え切れないほど呼び続けた名前。それでも、来られるはずもなかった人物の名前。俺に耽溺しているような人物の名前。俺をじわじわと作り変えていく人物の名前。他の誰でもない、まゆずみ、の四文字。