やめてくださいごめんなさいゆるしてください。届かない。触られる。体の中心部を、服の上から触られる。声が出た。泣き乱れながら、喉の奥から声が出た。やめてくださいごめんなさいゆるしてください。腰、動かないで。黛、助けて。気持ち悪い。気持ち悪いのに気持ち悪いのが気持ちいいと思いたくない。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。触らないで。気持ち悪い。気持ちよくない。助けて。助けて。黛。知りたくない。嫌だ。気持ち悪い。

「思った通り、鳴海くんのここは大きくなって愉しんでるんだからさ、鳴海くん自身も一緒になって愉しめばいいじゃん。挿れる穴は一つしかないけど、挿れるモノならいっぱいあるんだから。めちゃくちゃ善いと思うし、ちょうど俺もね、男のオメガの穴がどんなに気持ちいいのか体験してみたかったんだ」

 あ、あ、あ。やめて。やめて。やめてくださいごめんなさいゆるしてください。父親に挿れられ出された、吐き気を催すほどのトラウマが脳内にコピーペーストされ、あの忌まわしい記憶が鮮烈に再生される。気が狂ったように泣き叫んでもやめてはくれなかった父親が、今度は頭の中で俺を壊していった。やめてくださいごめんなさいゆるしてください。助けて。たすけて。まゆずみ。まゆずみ。まゆずみ。

 呼吸もままならないほど狂乱し、ギリギリ保てていた精神の糸が突如としてぷつんと切れ、めちゃくちゃに号哭してしまう俺を見ても萎えることのない男たちが、猛獣のような息を吐きながら俺を取り囲んで遊び始めた。布を剥がされ、欲を押し付けられ、輪姦(まわ)される。ショックに気を失いかけても、動画撮ってるんだからちゃんと起きといてくれないと、と体や顔を叩かれたり、口での奉仕をせがまれたりして、意識を飛ばすことを許してもらえなかった。