「兄上、いいのですか?抜けだしたことがバレたら、また叱られます」
「バレるものか。あんなくだらないお茶会におれたちがいようがいまいが、だれも気に留めやしないさ」
「そうだといいのですが」

 二人の会話をきくともなしにきいている。っていうか、きこえてくるので仕方がない。

 あの二人、やはりお茶会を抜けだしてきたのね。

 そっと身を乗りだし、真下をのぞきこんでみた。

 二人とも、この木の幹に背中をあずけて座っている。

 先程の会話から、二人が兄弟だということがわかる。