「なぜかはわからない。だから、本性をさらけだしてしまった」

 彼は、視線を伏せた。美貌によくあるように睫毛が長い。屋根裏部屋で使っているランタンのほのかな灯りでも、睫毛がパッツパツなのがよくわかる。

 睫毛……。

 何かがひっかかった。

 長いパッツパツの睫毛をいつかどこかで見たような気がする。

 だけど、他人(ひと)の顔を、しかも一部分だけをじっと見つめることなんてまずない。

 すくなくとも、大人になってからは皆無だと言いきれる。

 それなのに見たことがあるの?

 っていうか、わたしにだけ本性をさらけだしてしまったって、どういうこと?