その人影がだれか、は言うまでもない。

 梯子段をのぼりきったところで足を止めた。

 深く息を吸い、お腹がひっこむほど吐き出す。それを何度か繰り返した。

 いま、ここにロランはいない。

 彼は、いまごろ中隊を率いて演習で北方地域に行っている。

 わたしのことだけではなく、屋根裏部屋にいる人物のことをフォローしてくれる人はいない。

 ここに来たばかりのわたしとは違う。