「ふんっ!おれを餌付けしようたってそうはいかないぞ」
「閣下っ!いいかげんにしてください」

 そんなふうに、将軍のかたくなな態度は温厚なロランをただ怒らせるだけである。

 わたしは、いっさい口を開かないようにした。

 同腹の弟の言うことですら耳を貸そうとしないのである。(かたき)の存在であるわたしが何を言おうと、いたずらに状態を悪化させるだけ。

 わたしのストレスが溜まりまくるだけ。

 そんなの、バカバカしいったらないわよ。

 というわけで、わたしの侍女生活はこの夕食をもって波乱の幕開けをした。