「ロラン、あなたのせいじゃないわ。だから、頭を上げて」
 
 慌てて彼の両肩をつかんで頭を上げさせようとした。

 小柄なのに、肩はがっちりしている。

「兄があれほどかたくなだとは……。わざわざ嫁いできてくださったあなたに、あそこまでひどいことを言うなんて……」
「将軍閣下の気持もわからないでもないわ。ほら、わたしも裏切られた口でしょう?」