「その、クロード……」

 お兄様たちを見送った後、とりあえずお礼を言っておこうと思った。

「リン、どうしてあんな無茶なことをしたんだ? だいたい、女に助けてもらわなくってもどうにかなったんだ。レオナールは、右腕をケガしていただろう? どうせきみが噛みついたかなんかしたに違いない」
「なんですって?女に助けてもらわなくってもいい? あなたに勢いがあったのは、最初の二振りくらいだったでしょう? あとは、剣を振っていたんじゃなくって剣に振りまわされてグデグデだったわ。それをなに? わたしがお兄様の腰に抱きつかなかったら、ナイフで刺されていたわよ。右腕がケガしてるって見破ったのはいいけれど、その弱点をつくことすらできなかったじゃない。それで女云々を語るなんて、笑っちゃうわ」