だけど、わたしの声はクロードに届かなかったらしい。
 もしかしたら、ちょっと声が小さかったかも。

「耳垢がつまってるんじゃないの?何度も言わせないで」
「あああああ?もう忘れたのか?耳垢だったら、昨日膝枕してとってくれただろう?」
「あっ、そうだったわね」

 わたしったら、ボケまくりね。

「そうなんだ」

 そのとき、お兄様がすぐうしろでつぶやいた。