クロードのところに帰るという思いも、いままでのかんがえから百八十度かわってしまっている。それでもいい。それでもやはり、彼のもとに帰りたい。

 それほど強い気持ちを抱いているにもかかわらず、ここにとどまってお兄様を問い詰めようとしている。

 ほんと、わたしってバカね。

「あの日?」

 そんなわたしの矛盾だらけの心の内とは裏腹に、お兄様は渋美しい顔を右に倒してしばしかんがえこんだ。

「ああ、わたしが屋敷に戻った日のことか」

 思いいたったらしく、ぱあっと表情が明るくなった。