子どもの頃、控えめに言ってもお転婆すぎた。
 あちこちよく動くから、当然よく食べた。よく動くから当然だけど、それにしても大人顔負けの食欲だった。
 だから、お兄様は帰省するたびに遠まわしに太ったのではないか、とわたしをからかった。

 わたしも、そう揶揄われて本気で怒ったものである。

 街道の真ん中でお兄様と向かい合わせで地面に座り込み、しばし見つめ合った。

 お兄様もそんな昔のことに思いを馳せているだろうか。

 上目遣いに彼を見ると、右腕の傷のせいね。渋美しい顔が真っ白になっている。

 その様子は、屋敷でのクロードを思い出させた。