お兄様は、それを馬上で察知してわたしといっしょに落馬し、自分の右腕を伸ばしてわたしをこの石からかばってくれたんだわ。

「お兄様、ごめんなさい」

 ついさっきまでのやり取りなど、すっかりふっ飛んでしまっている。

 目に涙が勝手に溢れてきた。そこまできたら、止める術はない。

 ポロポロと落ち、頬を伝っていく。