「お、お兄様っ?」

 お兄様の腕の下に、そんなに大きくはないけれど石があったのである。しかも、そこまで鋭利ではないけれど石の先端部分が尖っている。

 周囲を見ると、他にもいくつか石や砂利がある。

 街道のこの辺りにだけこんなものがあるのかはわからない。

 そんな「なぜ?」はともかく、本来ならわたしがこの石の上に落ちて背中か、運が悪ければ頭とか首に刺さっていたかもしれない。死ぬようなことはなくっても、けっして軽くはないケガを負った可能性がある。