「おろして」

 だから、前を向いたままお願いをした。

「なんだって?」

 お兄様が驚くのはムリはない。

「いいからおろして。どうしても王都に行かなければならないのなら、わたしは歩いて行くわ」
「いきなりどうしたというんだ?」
「いいから、おろしてよ」

 イライラが爆発してしまった。