「リン、何をふくれているんだ?」

 うしろにいるお兄様が、尋ねてきた。

 ムカつくことに、その声に笑いが含まれていた。

 お兄様は、面白がっているのね。何に対してか、はわからないけれど。

 だから、無視することにした。

「あいかわらずだな。小さいときのままじゃないか。ほら、頬をふくらませているところもまったくかわっていない」

 お兄様の指先が、わたしの頬を突っついた。