敷地は広く、庭という概念はないらしい。

 古い屋敷の前で荷馬車が停止し、その地に降り立った。

 ずっといっしょに旅してきた赤い頬の兵士が荷物を運び入れてくれるという。

 彼に礼を言い、ロランについて屋敷内に足を踏み入れた。

 入った瞬間の印象は、人の気配がまったくないということと、きれいだなということである。