「バカだなんてひどいわ。はっきり言ってちょうだい。言葉にださないとわからないことだってあるでしょう?」

 お姉様が言い返した。

 お兄様がこんなことをする理由がわからないのね。

 わたしはそう思った。お兄様もおなじことを思ったんでしょうけど、この際お姉様のバカさ加減は問題ないと判断したのね。

 お姉様のバカについてはまったく触れなかった。

 それよりも、お兄様はすぐ目の前にいるクロードと視線を合わせた。