あのときのわたしにとっては、どんな慰めの言葉よりもこのやわらかい笑みだけで充分慰められた。

 そんなことまで覚えているなんて……。

 驚き以外のなにものでもない。

「お、お兄様。わたしたちを殺そうとしているのは、やはりお兄様なのね」

 うしろでお姉様が震える声で尋ねた。

 かすかに異臭が流れてくる。