「お兄様っ?」

 そして、お姉様に一番肝心な台詞を取られてしまった。

 その耳障りきわまりない甲高い声に反応し、男が、というよりかはお兄様がゆっくり立ち上がってこちらを向いた。

 お兄様……?

 たしかに、記憶にあるお兄様を老けさせて貫禄をつけたような感じは感じである。

 お兄様は、控えめに言っても美しすぎた。これは、身内びいきではない。だぶん、だけど。