マリユスと二人で、「ただちょっと揶揄ってみる」的に思いついたのだ。

 気の毒に。クロードはお姉様に散々振りまわされた挙句、思いっきり婚約破棄を叩きつけられた。

 国王陛下も、これまでの経緯がある。お姉様から婚約を破棄したことも不問に付された。

 クロードは、王宮にいることが困難になった。

 そこで表向きは国境地域を防衛する将軍として任命され、王宮から放り出されてしまった。

 それが二年前の話である。

 それ以降、彼の噂話ですらほとんど出なくなった。ほんとうにときどき、「ひきこもり王子」なんていたよな程度に言われる程度である。