「いつもだったら両親はお兄様をチヤホヤしていたし、お兄様は両親に笑顔で接していた。お姉様も、お兄様にべったりのはずが、両親にくっついて泣きじゃくっていた。使用人たちも、どこかピリピリしていたわ。おかしいわよね。あなたとのことは忘れてしまっていたのに、あの日のことは一部分をのぞいてはっきり覚えているんですもの」 苦笑してからまた続ける。