装うことも隠すことも演じることもなく、わたしのままで振る舞った。地のままで接した。

 それもまた、自分にとって驚き以外のなにものでもなかった。

 そんな日々を重ね、彼は軍の演習をすることが多くなった。屋敷をあけることがしょっちゅうになり、そんなときはわたし一人ですごさねばならない。

 寂しくてならない。一人ですごすことが多く、慣れているにもかかわらず。さらには、それが当たり前で大好きだったにもかかわらず。

 将軍が戻ってくるのを心待ちにし、帰還する前日にはうれしさと緊張でウキウキした。眠れぬ夜を迎え、眠れないからといつもより手の込んだ料理を作ったり屋敷を飾ったりした。