それから、クルリと大きい方の子へ振り向いた。

 彼があっと驚くまでに、思いっきり殴った。

 自分でも驚いた。

 平手打ちとかではない。拳でぶん殴ったのである。

 一瞬、この世界から音が消えた。

 森の遠くでも近くでも、小鳥の囀りや羽ばたきの音もしない。