おまけに。

「…」

「…」

「…」

「…」

…折角、お互いの呼び名が決まったのに。

この沈黙の辛さ。

早くも共通の話題に困ってる。

何なら話が合うんだろう…。

私がハマってることとか、知ってることとか、ことごとく結月君には縁がないような…。

どんな話題なら食いついてくるんだろう。

あ、そうだ。

結月君って、いかにも陰キャなオタって感じだし。

ネットゲームとかするのかな。

私よく知らないんだけど。ネットゲーム。

でも、この話題を振っちゃって良いのかなぁ?

よくあるじゃん、オタク系の人って。

自分の守備範囲の話題が来たら、もう水を得た魚みたいに怒涛の如く喋り出す、みたいな。

どうしよう。萌え系の女の子のフィギュアとか集めて、にやにや鑑賞してるタイプの人だったら。

有り得る。結月君だったら有り得る…。

…うぇ。

私、そういう人って、生理的に無理なんだけど…。

でも、よく考えてみたら。

裏を返せば、これってチャンスかも。

このまま話題のないまま、沈黙が続くよりは。

ひたすら、一人で結月君に語らせておいた方が良いのでは?

私はほら、介護施設の職員みたいなつもりになって。

結月君の長々とした一人語りを、適当にうんうん相槌打ちながら、聞いている振りをする。

そうすれば、少なくとも沈黙の気まずさに耐える必要はなくなる。

我ながら、ナイスアイディア。

よし、早速これを実行に移してみよう。

「…結月君って、趣味は何なの?私はよく知らないんだけど…ネットゲームとか?」

どうだ。

オタクの人だったら、それはもう目を輝かせて。

水を得た魚のように、ペラペラと喋り始め、

「…ネットゲーム?」

…なんてことはなかった。

むしろ、結月君まで首を傾げていた。

私も知らないし、結月君も知らなかった。

あれぇ…?私、話題提供間違えた?

結月君みたいなタイプは、深夜にネットゲームに夢中になってるんじゃないの?

もしかして、私のただの偏見でしかなかった?
ますます、結月君の趣味が分からなくなったんだけど。

じゃあほら、あれかな?

最近流行りの…yourtubeアイドルとか?

ああいうのにハマってたりするの?

yourtubeくらいなら、私も見るよ。

さすがにネットアイドルまでは知らないけど。

「じゃあ、何かハマってる動画とかある?好きな配信者は?」

これなら、さすがにいるでしょ。

「動画…ですか」

…あれ?

なんか、イマイチ食いつきが良くない気が、

「済みません。僕、そういうの見ないので、よく知らないんです」

え…えぇぇぇ?

と、思わず声に出しそうになるのを、必死に堪えた。

じゃあ、むしろ君、いつも何してるの?

「あんまりパソコンは触らないタイプ…?」

「あ、はい。うち、パソコン持ってないので」

これまた衝撃。

嘘でしょ。

今時、パソコンがない家なんてあるの?

一家に一台どころか、一人に一台の時代じゃないの?

うちだって、両親の使うパソコンとは別に、私専用のノートパソコンがあるのに。

って言うか、スマホも持ってない上にパソコンも持ってないなんて。

「どうやってネット使ってるの…?」

あ、タブレットとか?

最近のタブレットは高性能だもんね。パソコンの代わりにタブレットを使ってる人も多、

「家でネットは使わないんです」

「…全く?全然?」

「はい。インターネットが繋がる環境じゃないので…。もしどうしても、学校の課題で必要なときがあったら、学校のパソコン室で調べてます」

真面目か。

まさか、学校のパソコン室で調べ物するなんて。

こんな人初めて見た。

SNSはやらない、スマホもない、パソコンもない、そもそもインターネットは使わない…。

持ってるのは時代遅れな二つ折り携帯のみ。勿論EINLもやってなくて、未だにメールでやり取り。

成程ね、こう言っちゃ悪いけど。

…友達が出来ない訳だよ。

これじゃあ、一体何の話をしたら良いか分からないじゃない。

そういうツールって、最低限誰でも持ってるものだと思ってた。
「それじゃ…あ、そうだ。テレビは?」 

と、私は聞いてみた。

そう、テレビ。テレビがあるじゃん。

パソコンで動画は見れなくても、テレビなら見られるでしょ。

アニメとかドラマとか、バラエティ番組とか。

そういう、見てる番組の系統で結月君の趣味を推測出来る、

「テレビは…ありますけど、あんまり見ないんですよね」

…。

…テレビも見ないの?

君、本当に家で何してるの?

つまらなくないんだろうか。毎日。

「見たとしても、ニュースくらいですかね…」

ニュースしか見ないって。それどういうスパルタ教育?

家の方針なんだろうか。ネットも見ない使わせない、スマホもパソコンもタブレットも与えない。

見ても良いテレビ番組はニュースだけ、って?そういう決まりのある家?

そんな厳しいルールのある家は、漫画かドラマの世界だけだと思ってた。

現実にそんな家があるなんて、信じられない。

私だったら、あっという間にグレてるよ。

周りが当たり前のように与えられているものを、自分だけは与えられなかったら。

そんなの、苦痛でしかないじゃない。

「結月君の家って…。厳しい家なんだね」

厳しいを通り越して、もう束縛じゃない。

もしかして、放課後になったらすぐに帰っちゃうのも、部活に入ってないのも、それが理由なの?

親に止められてるから?

結月君も馬鹿正直に、よく従うよね。

理不尽な束縛なんて、無視しちゃえば楽なのに…。

と、思ったけど。

「あ、いえ…別に、親に禁止されてる訳じゃなくて」

「え?」

「ただ、僕が必要ないから、欲しがらないだけです」

…マジ?

それは何?今流行りの…ミニマリスト的な生活を送ってるってこと?

ミニマリストだって、スマホくらいは持ってるんじゃないの?

「興味ないの?yourtubeとか、SNSとか…」

「あ、はい…。よく知らないので、興味もないですね」

興味がないから知らないんじゃない?

えぇ…。有り得ない…。

私の常識の外にいる人だよ、結月君は。

とても、今時の現役高校生とは思えない。

周りから浮くのも仕方ないよね。これじゃあ。

暇じゃないんだろうか?スマホもパソコンもテレビもなくて…。

いや、テレビはあるんだろうけど。見ないならないのと変わらないじゃない。

「じゃあ結月君は…いつも、家で何してるの?」

と、私は聞いてみた。

こうなってくると、逆に結月君が普段、どんな生活を送ってるのか気になるよ。

一体、どうやって時間を潰してるの?
「家で?…そうですね。料理をしたり、掃除をしたり、裁縫をしたり…」

…家事…?

「課題が出たときは課題をやって、あとは授業の予習とか…」 

…勉強…?

「他にやることがないときは、縁側に座って、庭を眺めたりしてます」

…何それ。

うちのおじいちゃんみたい。

退屈だ。私だったら、一日でも耐えられないくらい退屈だ。

まさか今時の高校生が、そんな生活を送ってるなんて。

真面目な優等生の生活だね。

そういや結月君って、成績は良いんだよな。

確か、うちの学年の、成績優秀者に送られる学費免除枠は、結月君なんじゃなかったっけ。

それを維持したいから、必死に勉強してるってこと?

じゃあ、塾とかも頻繁に通ってたりするのかなぁ。

成程、それはそれで忙しいよね。 

そりゃもう、スマホで遊んでる暇もないくらい…。

…って、それとこれとは別だよ。

スマホは普通、皆持ってるものでしょ。

学費免除枠とか、そんなの関係ない。

「そ、そう…。真面目なのね、結月君…」

「そうですか?自分では全く…」

真面目って言うか…。

…つまんない人だと思う。

毎日、何を楽しみに生きてるんだろう…。
 
「それ…楽しいの?つまらなくない?」

一応、そう聞いてみたけど。

「?別に…つまらないと思ったことはないですけど。つまらないように見えますか?」

うん、見えるよ。

と、声を大にしては言えない。

そうだよね。本当につまらないなんて思ってたら、今頃そんな生活してないって。

結月君はそれで満足だから、そんな毎日を送ってるんでしょ?

本人がそれで良いなら、口を出す権利はないと思うけど。

折角の一度しかない青春の日々を、そんな過ごし方で浪費するのは、凄く勿体無い気がする。

やっぱり私とは合わないなぁ…。

「い、いやそんなことはないよ。ただちょっと…変わってるなぁって」

「そうですか」

「あ、で、でも、良い意味だからね?決して悪い意味じゃないから」

と、私は念押ししておいた。

危ない危ない。つい本音が。

好きになる要素なんて、一つも見つからないけど…。でも私は今、この人と付き合ってる設定なんだから。

下手に本音を言って、バレたんじゃ意味がない。

内心つまらない人だと思ってるのも、気づかれないように気をつけないと…。

と、思っていると。

「…済みません。僕、ここで失礼します」

結月君が、唐突に足を止めた。
え?ここで?

…あ、なんか言ってたっけ。途中までしか帰れないって。

ま、良いか。

家まで一緒に帰って、家族に結月君の姿見られたら、恥ずかしくて何て言ったら良いか分からないもん。

「うん、分かった。ここまでね」

多分結月君はこれから、塾にでも行くのだろう。

真面目なガリ勉君。

勉強なんて、程々で良いと思うけどなぁ。

なんて考えだから、私はいつも、平均以下の成績をうろうろしてるんだろうなぁ。

赤点じゃなきゃ良いのよ。

「じゃあ、また明日ね」

「はい、また明日」

結月君はそう言って、くるりと踵を返し、曲がり角を曲がって行ってしまった。

…ふぅ。

結月君の姿が、完全に見えなくなってから。

「…あー、疲れた…」

私は道のど真ん中で、思いっきり脱力した。

…好きでもない人と一緒に帰るのが…これほどしんどいとは。

しかも、こんなのまだ序の口でしょ?

三ヶ月の期限は、まだまだたっぷり残っている。

週3で一緒に帰るんだから、明日か明後日にでも、また今日みたいに一緒に下校しないといけない。

うぅ。想像しただけでうんざりする。

正樹の奴…本当に、とんでもない罰ゲームを思いついたものだ。

あんたが思ってるより、この罰ゲームは大変よ。
「…そう、有り得ないでしょ?いつの時代から来た高校生かって話」

『へぇ〜。変わってる人だとは思ってたけど、そんなに時代遅れとはね』 

私は帰宅して、すぐに。

親友の真菜に電話をかけて、愚痴を言いまくっていた。

愚痴って言うか…。

…結月君の悪口?

とにかく、私の常識からは考えられない!って思ったことを、延々と真菜に喋った。

ちゃんと相槌を打って聞いてくれたよ、真菜は。

「何話したら良いの?全然話合わないよ」

『本当にね。私でも無理だわ。毎日何が楽しくて生きてんだろうね、三珠クン』

全くだよ。

高校生の今から、そんなのんびりしたスローライフ送っちゃって。

老後どうするつもりなんだろ。

そんな生活で、人生楽しいのかなぁ?

「もー無理だよ〜…。真菜、代わって…」

『え?やだ』

即答だった。

でしょうね。私だって、立場が逆だったら即答してたと思うよ。

いくら親友でも、それはそれ、これはこれだもん。

そんなつまらない人と付き合うなんて、私だって御免だよ。

「しかも、これまだ一回目だからね。明日か明後日にでも、また一緒に帰るんだよ」

『うん、そうなるね…』

「無理。会話が続かない。どうしたら良いと思う?」

てっきり、オタクな結月君が一人でペラペラ喋ってくれると思ってたのに。

全然オタクじゃなかったし、それどころか、趣味らしい趣味が何もない。

何の話をすれば良いの?

『え〜?…うーん…。…天気の話とか?』

…迷った挙げ句に、それ?

近所のおばさんとの会話じゃん。彼氏との会話じゃないよ、天気の話なんて。

しかも、仮に天気の話をしたって、一言二言で終わりだよ。

「今日良い天気だね」

「そうですね」

「今日はあったかいねー」

「そうですね」

って、これで終わりだよきっと。

そうですねしか言ってないじゃん結月君。

でも、絶対そんな会話になる未来が見える。

「何でも良いから、なんか話題を提供してよ、真菜。私達友達でしょ?友達を助けると思って」

まさかこんなことを真菜に頼むなんて。

我ながら、何やってるんだろうと思うよ。

でもこう見えて、私も必死だから。
それなのに、真菜から返ってきた返事は。

『えぇ?そんな深刻に考えなくても…』

…。

…親友だと思っていたのは、どうやら私だけだったようね。

真菜は他人事だから、そんな軽口が叩けるのよ。

当事者になってみなさい。

「…薄情者…」

『ま、まぁまぁ。まだ付き合いたてなんだし、最初は、誰でもそんな感じじゃない?』

付き合いたてで、あんな気まずい会話しか出来ないカップルなんて、すぐ破局だよ、破局。

そりゃ、三ヶ月後には破局する運命なんだから別に良いけど。

でも、その三ヶ月の間が苦痛なんだよ。

「真菜だったら、どんな会話する?」

『うーん…。私、三珠クンのことなんて、これっぽちも知らないからなー』

「私だって、知らないわよ」

彼とまともに会話したのだって、今日が初めてなんだから。

『じゃあ、色々尋ねてみたら?質問攻めして』

と、真菜は提案した。

質問攻め?

『好きな芸能人とか、好きな食べ物とか、好きなテレビ番組…はないんだっけ。週末はどんなことして過ごしてるの、とか』

「…成程…」

なんかそれ、お見合いみたいね。

でも私も結月君も、まだお互いのこと知らないんだし。

お互いを知るという名目で、色々質問攻めしてみるのは良いかも。

少なくとも、話題には困らないよね。

良かった。真菜はまだ私の親友だった。

「ありがと。試してみる」

『よしよし、頑張れよー星ちゃん。三ヶ月後のパフェをお楽しみに』

それはもう、勿論。

特大パフェを、ドリンク付きで頼むから宜しくね。
と、いうアドバイスを、真菜からもらったので。

次に結月君と一緒に帰ったとき。

私は早速、質問攻め戦法を使ってみることにした。

「結月君って、好きな食べ物は何なの?」

と、私は尋ねてみた。

何の脈絡もなく、突然の質問だけど。

しょうがないでしょ。変な前置きしてたら、またしどろもどろになっちゃいそうなんだもん。

多少不自然でも、会話を切り出さなきゃ始まらない。

いっそ、結月君の方から話題を提供してくれれば良いのになぁ。

この人に、そんな気遣いを求めるのが間違いってね。

そこまでは期待してないから。

「好きな食べ物…ですか?」

「うん、何が好き?」

何だろうね。

ハンバーグとか?グラタンとか?ステーキとか?

それとも案外スイーツ男子で、ケーキやクッキーが好きです、とか?

この見た目でスイーツ男子だったら、ちょっと面白いよね。ギャップで。

どんな返事が返ってきても、吹き出さないように気をつけないと。

「好きな食べ物か…。強いて言うなら…」

…強いて言うなら?

「…おはぎ、ですかね」

「…」

…。

…あ、そう。

吹き出しはしなかったけど、それはそれで…スイーツ男子?

まさか、和菓子の方だとは。

洋菓子じゃないんだね。

それにしても、おはぎって…何て言うか、いかにもお年寄りっぽい。

今日日の男子高校生で、好きな食べ物を聞かれて、真っ先に出てくるのがおはぎって。

あんこ好きなのかなぁ?

「きな粉をまぶしたおはぎが一番好きです」

「へ、へぇ…。…渋いね…」

「そうですか?」

うん、渋いよ。

「…星ちゃんさんは…おはぎ、好きじゃないですか?」

と、結月君が尋ねた。

す…。

「好きじゃないって訳じゃないけど…。お彼岸のときとか、家族が買ってくるから、普通に食べるよ」

「そうですか」

「でも、やっぱりケーキとか、マドレーヌとかの方が好きかな」

色んな好みはあると思うけど、私はやっぱり和菓子より洋菓子派だな。

お洒落だしね。

「ちなみに、何処のお店のおはぎが一番好きなの?」

おすすめの和菓子屋とか知ってるかも。

と、思ったら。

「あ、いえ…。お店では買わないです。手作りです」

「え、手作り!?」

これには、素でびっくりしてしまった。
私にとっておはぎという食べ物は。

お彼岸のシーズンになったら、スーパーの出入り口付近に、パック詰めされて並んでいるもの。

それを見て、「あぁ、今そんな季節なのか。じゃあ一つくらい買おっか」みたいなノリで、買い物かごに入れる程度。

家族が買ってきたら、一つくらい食べるけど。

特別食べたい!と思ったことはないし、メーカーにこだわりはない。

どのメーカーでも、大して味変わらなくない?

って思うのは、私が和菓子に興味がないからか。

それにしても、おはぎを手作りなんて。

ケーキの手作りなら、いくらでも聞いたことあるけど…。

おはぎも手作り出来るものなの?

「手作りなんだ…凄いね。手間かかるでしょ」

「?いえ、そんなに…。小豆を煮るのに時間がかかるだけで」

そこから作るんだ。

えー、すっご…。

それ、作ってるの結月君のお母さんってことだよね?

めちゃくちゃ本格的じゃん。

へぇ…小豆を煮るところから手作りするなら、手作りおはぎっていうのも、案外美味しいのかもね。

「結月君は、おはぎが好きなの?それとも和菓子が好きなの?」

「和菓子…そうですね、洋菓子よりは、和菓子の方が好きですかね」

やっぱりおじいちゃんみたい。

渋っ…。和菓子が好きな男子高校生って、あんまりいないよ?

多分。

「甘い物好きなんだ?スイーツ男子?」

「え?いえ、特別甘いものが大好きって訳じゃ…。…スイーツ男子って何ですか?」

あ、ごめん。

って、スイーツ男子って結構有名なフレーズじゃないの?

それすら知らないなんて。世間知らずにも程があるよ。

スイーツ男子って単語の説明を、長々とするのも面倒だったので。

自分の話しよっと。

「私も、甘い物は好きだよ」

「そうですか。星ちゃんさんは…何が一番好きなんですか?」

何が一番?…そうだな…。

「最近は、アイシングクッキーにハマってるかな」

あれ、凄く美味しいよね。可愛いし。

「近所にアイシングクッキーの専門店が出来てね。よく通ってるの」

「…アイシング…。…えぇと、アイスクリームが乗ったクッキー…みたいな食べ物ですか?」

まさかの。

結月君、アイシングクッキーすら知らなかった。

嘘でしょ。世間知らずってレベルじゃないよ。

普通に、ニュースの特集でもやってない?

そんなことさえ知らないなんて…。ってことは、食べたこともないんだろうな。

手作りおはぎに舌鼓を打ってるようじゃ、アイシングクッキーを食べたこともないのも無理ないのかもしれないけど。

「アイシングクッキーっていうのは…ほら、こういう奴」

私はスマホのフォトフォルダを開き、これまで食べたアイシングクッキーの写真を、結月君に見せてあげた。