「おっ来た来た。」
毎日のように顔を合わせているこの法律事務所の人とは顔見知りだ。
「こんにちわ」
「こんにちわ」
いつも受付近くにあるデスクから、近づいてくる男性。
その男性の名前も私は覚えている。
佐久田さんだ。
「いつもありがとう。これ、会計です。ぴったり。」
「ありがとうございます。領収証です。」
私は持ってきた領収証を佐久田さんに渡し、料金を預かる。

バックに料金を入れて、いつものようにデリバリー用のバックを事務所の端にある机の上に乗せる。
バックの中から淹れたての飲み物や軽食を出していると「お疲れ」と後ろから声がした。

その声が修平だとすぐにわかる。
「おっ。彼氏が来たよ。」
佐久田さんがからかいながら私を手伝ってくれる。