ほとんど毎日修平の勤める法律事務所から注文が入り、私は配達をしている。

「行ってきます」
「気を付けてね」
「はい」
私は大きなデリバリー用のバックを持ち、エレベーターに乗る。

修平がいないときは、エレベーターに乗る時、必ず壁に体をつけて、片手で手すりをがっちりとつかんで乗る。
デリバリー用のバックの重みを使って体を安定させていた。

私は大丈夫だ。
修平が居なくても、こうして自分で転ばない術をちゃんと知っている。

あれこれ考えている間にすぐに5階についたエレベーター。
扉が開くとそこは法律事務所のフロアだ。