会社の駐車場はビルのすぐ隣にある立体駐車場。
専用の場所に車を停めた修平は、助手席から降りた私の方にすぐに近づく。

「じゃあ。行ってきます。」
「行ってらっしゃい。鍵、ちゃんと持ってるか?」
「うん」

会社の人に見られるのが嫌だと何度も何度も言う私の話を聞いて、修平はこの駐車場で私から離れるようになった。

でも、ビルの中に入るまでは私のすぐそばを歩く。

いつものように私がビルの一回のカフェに入ると、修平はエレベーターに乗って自分の会社に向かう。

同じ大学を卒業した私たち。
修平の方が私よりもはるかに頭のいい学部で、私の方が先に卒業をした。

事情があって仕事がなかなか見つけられなかった私がやっと今の職場に理解されて勤め始めるのと、修平が卒業して就職するタイミングは同じだった。