「できた」
慣れた手つきで手当てを済ませると、修平は救急箱を部屋に戻してすぐに私の方へ戻ってきた。

「行こう」
「うん」
いつものように私の右手を握り、玄関の扉を開けると私がぶつからないように扉を大きく開けて抑えていてくれる。

そして自分のポケットからカードキーを出して、カギを閉める。

部屋のすぐ近くのエレベーターに乗ると、いつものように私を抱きしめるように左手で私の肩を支えてくれる。

エレベーターを降りると、マンションのエントランスを抜けてマンションの駐車場へ向かう。
修平の車は黒のセダン。
助手席のドアを開けて、私を乗せると、すぐに運転席に回る修平。
すでにエンジンをかけてある車の中は暖房がきいていて温かい。