───────────────────



『いっそのこと、アンタが死んでくれたら全てが丸く収まると思わない?』



こんなにも春に執着する一花さんを

私は異常だと思った。





「………、………」



深く沈んでいた意識がフッと戻ってくると
見えた先は真っ白な天井だった。



「ここ…」



どこ?


そう言葉にする前に、私の視界にひょっこりと顔を覗かせた人。

目が合えば、その人は「あっ…!」と瞳を大きく広げた。



「由紀子…さん…?」

「はい!由紀子です!!私の声聞こえますか!?」

「はい……」

「よ、良かったぁ……」



ずっとここにいてくれたのだろうか。

綺麗な髪は少しボサボサになっていて
ホッと安心したのかポロポロと涙をこぼしていた。



(ここ……病院?)



個室の部屋には私と由紀子さんだけ。

身体を起き上がらせて周りを見渡せば、由紀子さんは気がついたみたいに私の身体を支えた。



「動いて大丈夫そうですか?」

「はい……なんとか」

「無理しないでください」

「………あの、」

「はい!なんでしょう!!」

「春は……」



その名前を口にした瞬間、由紀子さんが一瞬ピタリと止まった。



「あ……えっと、」



そしてどこか言いづらいような顔をする。


その態度にはもちろん怪訝に思う私。



春に…何かあった?



ありえなくもない。

だってあの時、あの場所には一花さんもいた。

私は途中で意識を失ったし、その後に起こったことは知らないし分からない。



(………もしかして)



刺されたとか、そんなんじゃないよね?