私は咄嗟に逃げ道を探した。


辺りがしっかりと見えるようになって
私は首を動かすことなく目だけで周囲を確認。


この人の家?なのかな。

橋本と同じでどこかのマンションの最上階っぽい。


雨は上がったらしく、掃き出し窓からは夜景が綺麗に見えていた。



(リビング…?じゃあドアは…)



私が向いている方向にはない。

じゃあ後ろか?


さすがに出入口のない部屋なんてないから
きっとそうだと思って私は脚に力を入れる。


幸い、手足は縛られていない。


何かされそうになったらダッシュで走ろう。そう思った。



「あー…でも。なるほどね〜」

「っ」



だが、不意に一花さんが距離を詰めてくる。


元々近い距離にいたけど、より一層近くなった。