それからは約束通り由紀子さんの送り迎えで
仕事場に行ったり家まで送ってもらったりと、
なんだかとてもリッチな日が続いた。

そんな日常に慣れていない私は送ってもらう度に誰もいなくなってからほっと一息つく。


(送ってもらえるのは助かるし有難いけど…)


ちょっと気を使ってしまう。


いや、ちょっとどころじゃないな。
だいぶ気を使う。

私なんかの為にここまでしてくれなくてもいいのになって。


いつも仕事が始まる前から少し疲れていた。



それから時は5日ほど過ぎ去って、

清美一花との接触はなく、居場所もまだ掴めていないまま。

特に何かが起きる様子もない日々。


もう橋本の家にお世話になる必要はないんじゃ?と。

警戒心が徐々に薄れ始めていた頃だった。




この日は久しぶりの大雨で

客足は少なく、いつもより早めに閉店作業始めた。


客足が少なかったとしても、ゴミは結構出るわけで。


「ゴミ出し誰か行ってくれない?」

「俺今忙しいっす」

「じゃあ安藤さん」

「………………」


店主も慎二くんも雨に濡れるのが嫌だからか、特に何かをしているわけじゃないのに私にゴミ出しを押し付けてきた。


確かにゴミ捨て場には屋根も何も無くて、折り畳み傘程度なら開けられるくらいの狭い路地にある。


私だって濡れたくないけど、行く気のない2人と言い合う方がもはや面倒で。


「行くんで給料上げてください」


溜め息混じりでそう吐き捨ててから私は両手にゴミを持って外へ。