(ギュッて、したい…)



ひっつきたくて

もっと触れ合いたくて。


無意識に伸ばした腕は春を包み込もうとする。



が。



「はい。終わり〜」



抱きつく前。


春は私の肩に手を置いて引き離した。


行き場をなくした手は未だに春に向かって伸びたまま。



「1分だけの約束だから」

「……………」

「物足りない?」

「そんなわけないでしょ」



このタイミングで腕を下ろした私。


強がっていることに気づいているのかいないのか。


クスクスと笑う春。


私は不貞腐れたように目を逸らした。