夜も遅く、話し合いが終わってスグ部屋に戻った。
(明日はまず仕事に行って、終わったら一旦あの家に戻って荷物を取りに。それから……)
明日のことを頭の中で色々と整理していると、
「凛、ちょっといい?」
って。コンコンとドアを軽く叩く音と共に春の声がしたから身構えることなく開ける。
「どうしたの?」
「中……は入れてくれなさそうだね」
「ここから先は立ち入り禁止。」
「何もしないのに」
「信用できない」
「信用してよ」
ヘラヘラと笑う春。
その時点で信用できない。
いつ手を出してくるか、もしくはキスをしてくるか分からないから私は部屋のドアを小さく開けるだけにした。
これくらいなら手も足も出ないだろう。
「用があるなら早く言って」
「じゃあ、携帯貸してくれない?」
「携帯?何するの」
「貸してくれたらスグ帰るよ」
「………………」
一体何をするつもりなのか。
分からないけど、特に見られて困るものもないし小さく開けたドアの隙間から春に手渡す。
「ありがとっ」と受け取った春は素早く操作をした後、あっという間に私の手に携帯が戻ってきた。