その後、何食わぬ顔をして下りてきた橋本と由紀子さんに私も何食わぬ顔をしてお風呂場へと向かった。
引くくらい大きな湯船のせいで全く落ち着かなかったけど。ちょっとした温泉施設なのかと思った。
お風呂から上がって喉が乾いていた私は水を飲もうとそのまま一階を歩く。
広いリビングに辿り着くと、そこには春と橋本の2人の姿が。
ローテーブルを挟んで向かい合う2人。
その顔は2人とも真剣そのもの。
仕事の話なのか、それとも今後の話なのか。
聞こえないから分からないけど、邪魔しちゃいけない雰囲気で。
私は水を諦め部屋に戻ろうとした。が。
「安藤さん!お湯加減どうでしたか?」
「え、あー……」
どこからか現れた由紀子さんにそう話しかけられた途端、橋本と春からの視線を一気に浴びた。
そして
「(呼ばれてる…)」
春に手招きされ、私は2人がいるその場所へ。
「…なに?」
「ここ座って」
ポンポンと春は自分の隣を軽く叩く。
チラリと橋本の様子を伺ってみるけど、目が合えば、そこに座れと顎で指示してきた。
どうやら私もここに居ていいらしい。
言われた通りにそこに腰を下ろす。
由紀子さんは4人分の飲み物を持ってくると橋本さんの隣に座った。
喉乾いてたし助かった。