「だって………裕二さんカッコイイから……」

「裕二さん…」

「あっ!すみません、つい……
えと、橋本さんがカッコよくて……」

「(わざわざ言い直さなくても)」



橋本裕二。確かそんな名前だった気がする。


名刺に書いてあったし。



てゆーか、2人っきりの時は下の名前で呼び合ってるんだ?


想像するとなんだかにやけてしまった。



「橋本さんのこと、凄く好きなんですね」

「へっ!?」

「好きだから良い風に見られたいし見て欲しい。緊張するのは、そうやってずっと意識してるからじゃないですか?」



にやにやと笑う私に由紀子さんはまた顔を赤くさせる。



「その通りです……」



そして恥ずかしそうに言った。



「もう、ほんと……好きすぎて…」

「誰のことが?」

「ひゃぁ!?」



ひょっこりと現れた橋本に由紀子さんは驚きのあまり飛び跳ねていた。



「入ってくるならノックしてください」

「ノックするも何も、ドア開いてたから。

─────で、誰が好きって?」

「っ……!」

「(全部聞いてたくせに)」



由紀子さんの顔を覗き込む橋本。


その顔はなんだか楽しそうで、尚且つ幸せそうな感じ。


2人とも、凄く分かりやすいな。