「それにしても、凄いドレスだな。いっつもそんなの着てるの?」

「えっ、これ? これは特別仕様。今夜は夜会に招待されてたから」


 わたしは未だ、夜会の時のドレスを着ていた。一人じゃ脱ぎ着出来ないし、エメットを待たせたくなかったからだ。


「夜会? なんだよ~~。そんな暇があるなら、おふくろさんや俺に手紙ぐらい書けたんじゃないの? 心配してたのに、損した気分だ」

「え…………?」


 エメットは途端に気だるげな表情を浮かべ、ソファに向かって身体を預ける。だけどわたしは反対に、勢いよく身を乗り出した。


「どういう、こと?」

「え? 何が?」

「手紙……わたし、書いてたでしょう?」

「えっ? ……ライラ?」

「わたし! ここに連れてこられてから、お父さんやお母さんに手紙を書いたの! 何枚も、何十枚も書いたの! エメットにもそうだよ! 時間を見つけて、その度に手紙を書いて。だけど返事は一度も来なくって!」

「ちょっ……待てよ! 俺達だってライラに手紙を書いたよ! それこそ何回も何十回も送った! それなのに届いてないっていうの?」


 エメットの言葉にわたしは愕然と座り込んだ。