「そうそうクレアが帰ってきてるでしょう?
 もう会ったの?」

「……会ったよ」

「高校とか大学とか、知り合いに片っ端から連絡して。
 結婚するって、自慢してるらしいけど。
 お相手に誰も会ってないんだよね、マリオンはその恋人に会わせて貰った?」



 ぐずぐず考えない、と決心したそばから聞かされる。
 もう暫くは大学の友人達とは会わないようにしないと。

 トリシアは気楽に話せるだろうと、新しくクレアの話題を振ってくれただけ……だから。


「すごい素敵だ素敵だ、って自慢するのに、全然会わせてくれないから、クレアの妄想疑惑出てるんだよ」


 ふと、魔が差した。
 私じゃない誰かが、私の身体を乗っ取って話し出す。


『コレクライ、イッテモイイナ?』



「……クレアの恋人は、私の高校の同級生なの」

「えっ?」