「マリオン、眉間に皺寄ってる」

 トリシアが私の眉間に指を伸ばしてきて、トントンと軽くつつかれた。


「仕事の事? 何か煮詰まってるの?」

「……人間関係かな」

「んー、私もさ、知っての通り人付き合い上手じゃないから何も言えないけどさ、楽になるなら話してみる?
 聞くだけしか出来ないけどさ」


 数は少なくても、トリシアのように信頼出来る友人は居て。
 そうだ、私には家族みたいな親友スコットや、お兄さんみたいなブレナーだって居る。


 今更失ってしまった初恋を、ぐずぐず思い煩ってもロクな事にならない。


 彼は……カーティスは。
 もう前を向いているのだから。


「トリィがそう言ってくれるだけで嬉しいよ。
 大丈夫、何とかなる。
 どうしようもなくなったら、泣きつくから」


 如何にもな感じだけど、握り拳をトリシアに見せた。

 彼女はまた、私の額に指を伸ばして弾いた。