「ふーん、なかなか美形な店長だね」

 あの人物が、これから私が一晩かけてこき下ろそうとしていた男だと気付かずに、スコットが感心したように言った。
 その言葉通り、カーティスは相変わらず美しい。


 あの頃の私達は制服以外の服装で会ったことはなかった。
 大雑把なサイズの大きさだけで合わせた制服の
襟元とタイを緩めて。
 少し着崩していた彼しか、私は知らない。


 もうカーティスは、私が知らない上質なスーツを着こなす大人の男性になったのだ。


 カーティスが隣のテーブルから、こちらに向かって来た。


「これはこれは……
 オーブリー嬢、ようこそいらっしゃいました。
 あぁ、こちらが貴女の婚約者の……
 スコット・ダウンヴィル様でいらっしゃいますね?」