もうすぐ、田中君と付き合って一年が経とうとしていた。

下校中の生徒たちが目立たなくなった午後五時前、学区から少し離れた、住宅街に囲まれた公園で、私はベンチに腰掛け、隠れるように背中を丸めながら彼が来るのを待っていた。

まだ日の暮れきっていない公園は、小学生の子たちがサッカーをして遊んでいる。

大抵は俯いているのだけど、時々顔を上げた際、園内を通る別の学校の制服を着たカップルと目が合うと、心臓をビクつかせ、早く来てよ。と呟いていた。

風もでてきて、日中より少し肌寒くなってきた頃。

「ごめん」

背後から聞き慣れた声がしたので振り向くと、黒いビデオカメラを首からぶら下げた、私の彼氏、田中結斗が立っていた。