(お兄様、恋人居たっけ……?)
そもそもお兄様に、今まで恋人の影は見たことない。仕事以外で出掛けてる様子はない。
密かに恋人が居たのか?!と動揺を隠せない。


「それでどうするんだ、新居は?」
「出ていく必要あります?」
「新婚ぐらいは二人で生活した方がいいに決まってる。そうだろ遥?」
「えっ、そ、そうですね……」

何で私?と思いつつ、やっぱり女の意見としてはいきなり夫の両親と同居はハードルは高いわなぁ、とは。

「だったらお父様、改築して二世帯でもいいと思うんですが」
「まぁそれでもいいけれど、それはいずれ子供が産まれて大きくなったらでいいと思う」
「そうよ、私も一度は出て行って二人だけて暮らすことを推奨するわ。遥も家事はできる方だと思うけれど……」
(えっ、なんで私……?)

なぜお母様は、私の名前を出したのだろう。
そもそも私の結婚相手って誰なんだ?と。

「でも里帰り出産だったら、子供部屋の用意は必要だわね。でも浩之と遥の部屋を繋げれば問題ないかしら?」
「だったら尚更、今のうちに改築するべきだとは思うのですが……」
「でもあなた達に子供が出来るとは限らないわ。私は別に子供ができなくても、二人が幸せであれば充分なんだから」

「……あの、すいません」
微笑むお母様に水を差すようで悪いが、まさか……と一抹の疑惑か頭を過る。


「私の結婚相手って、お兄様……?」