「ずっと俺は歯がゆかった。遥を『妹』と回りが認識してしまうと、いざ結婚する段階で躓くと思ったんだ。だけどうちは遥を養子にしなければならない事情もあった。そうなると、遥の存在は隠すしかなかった……ってそもそも、俺はてっきり、お前は俺と結婚する前提があるのだと思っていたが……まさかすっかり忘れていたなんて……」

はぁ、とため息をついては、頭を搔きむしっている。

「だって……」
「俺の愛が足りないんだというのは、よーくわかった」

にっこりと笑っては、私の顎をクイッともちあげる。

「今まで"兄"の立場でできなかった分まで、今から甘やかすつもりだ。覚悟しておいて」

微笑む顔は、今までに無いぐらい甘い顔で。
それに漂う色気のオーラも凄い。
私は眩しすぎて、頭がクラクラとなりそうだった。


「じゃぁ最初に、みんなに報告に行こうか」

コクりと頷くと、浩之さんは私の手を取る。
そして私の肩を抱きながら、一緒に両親の元へと向かって行ったのだった。