*
そしてそのまま、私は北大路家に連れて行かれることになった。
私の荷物は段ボールにまとめて、車の中に入れられた。
全ての荷物をトランクに詰め込んだ後──お母様は私を抱き締めて、泣いていた。
「今までのことは全部忘れなさい。私達が絶対に、あなたを幸せにするから」
私は今まで泣けなかった。
だけどこの人は、今まで泣けなかった私の分まで泣いてくれているように思った。
だから絶対、この人を裏切ってはいけないと思ったのだ。
そして車は北大路家に到着する。
「あなたは今日から、ここのうちの子よ」
この時から、私の人生が始まったのだった。
*
「私の初恋は、お兄様だったの」
あの花冠を被せてくれた時、本当に『王子様が来た!』と思ったのだ。
その通り、怖かった世界から私を連れ出してくれた、正真正銘の王子様だった。
「じゃぁ初恋の人と結ばれたわけか。奇跡じゃん」
あぁ、そうか。
私はあの王子様と──結ばれたのか。
お兄様を見つめると、あの頃と変わらない姿に笑みが漏れる。
するとそっと抱きよせられて、頬にキスが落ちてくる。
「記憶が戻らなくても、変わらず結婚してくれる?」
きっと私は、この人以外に結婚したい人は居ない。
そう確信できた。
頷くと、更に強く抱き締められる。
「お兄様……」
「結婚するんだから、その呼び方は改めて」
手を解くと、目を見つめて名前を呼んだ。
「浩之さん」
照れたように頬を染める姿は可愛くて。
いつもの澄ました感じより、ずっとこの方がいい。
回りを見ると、子供達が私を見つめていた。
急に恥ずかしくなってしまい、急いでその場を去ることにした。
しっかりと二人で、手を繋いで。
そしてそのまま、私は北大路家に連れて行かれることになった。
私の荷物は段ボールにまとめて、車の中に入れられた。
全ての荷物をトランクに詰め込んだ後──お母様は私を抱き締めて、泣いていた。
「今までのことは全部忘れなさい。私達が絶対に、あなたを幸せにするから」
私は今まで泣けなかった。
だけどこの人は、今まで泣けなかった私の分まで泣いてくれているように思った。
だから絶対、この人を裏切ってはいけないと思ったのだ。
そして車は北大路家に到着する。
「あなたは今日から、ここのうちの子よ」
この時から、私の人生が始まったのだった。
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「私の初恋は、お兄様だったの」
あの花冠を被せてくれた時、本当に『王子様が来た!』と思ったのだ。
その通り、怖かった世界から私を連れ出してくれた、正真正銘の王子様だった。
「じゃぁ初恋の人と結ばれたわけか。奇跡じゃん」
あぁ、そうか。
私はあの王子様と──結ばれたのか。
お兄様を見つめると、あの頃と変わらない姿に笑みが漏れる。
するとそっと抱きよせられて、頬にキスが落ちてくる。
「記憶が戻らなくても、変わらず結婚してくれる?」
きっと私は、この人以外に結婚したい人は居ない。
そう確信できた。
頷くと、更に強く抱き締められる。
「お兄様……」
「結婚するんだから、その呼び方は改めて」
手を解くと、目を見つめて名前を呼んだ。
「浩之さん」
照れたように頬を染める姿は可愛くて。
いつもの澄ました感じより、ずっとこの方がいい。
回りを見ると、子供達が私を見つめていた。
急に恥ずかしくなってしまい、急いでその場を去ることにした。
しっかりと二人で、手を繋いで。