階段をトントンと降りて、朝食が置いてある椅子に座る。


「おはよう、楓。」

「おはよう。」


お母さんはキッチンで食器を洗っているみたい。


置かれた食事をじっと見る。


今日のメニューはご飯と味噌汁というまさに日本人っぽい朝食。


やっぱり和食が好きだなぁ…


いただきます、と言ってから箸を動かしていく。


うーん…、美味しい…!


私が朝ごはんを食べているとお母さんが話してきた。


「あ、そういえば。突然なんだけど、立華朔(タチバナサク)くんって覚えてる?」



「うっ…ゲホッゴホッエホッ…」


………


はい?


今なんて言った?


「ちょっと、急にむせないでよ。」


いや、そんなこと急に言われたら驚くに決まってんじゃん…!


誰のことかというと、そいつの名前は立華朔。


小学校6年の3月にどこかに引っ越してしまった私の幼なじみ。

顔のパーツが整ってていて、毎日のように女の子から告白されていた。


両親が友達で生まれた頃から一緒だったから、離れ離れになる時はすごく泣いたんだっけ…


私の唯一の男の子の友達で、そして…





…初恋の相手。



「さ、朔が急にどうしたの…!」


なんで急に朔の話題に…