私は前を向いた。私にとっても大失敗のお出かけだ。結局、彼から嫌われていないようだから。
「そうですね、まだまだほしいものはあるんです、今日は買い足りないから」
「僕もそう思ってました。また買いましょうね」
(買い足りないわけないだろ!)
ことごとく効かない攻撃に、私はため息をつくしかなかった。
家に到着し、まずは自室に籠る。慌ててスマホに入っていた計画を呼び起こした。嫌われるための言動一覧なるものを、まとめておいたのだ。
金をいっぱい使う宣言、家事は一切しない宣言、愛想なく過ごす態度、仕事を軽視している発言、この二日間で結構攻撃したつもりだ。でも、どれ一つ効いていないようだ。あの男、頭の中どうなっているんだ。
「どうしよう、全然うまくいってない」
頭を抱えてベッドに横たわった。
朋美の弟から聞いた、『結婚したくない女一覧表』は結構クリアしている。このままでは本当に結婚の話が進んでしまうかもしれない。だめだ、断固として止めなければ。
私はスマホの画面をスクロールする。もう金にがめつい作戦は捨てよう、違う方向で行かなければ。
もっと理人さんが困るようなこと。怒って、勘弁してくれと願ってしまうようなそんな私を作り上げなければ。
「あ、こういうのはまだやってないぞ」
一覧表に、手を出していない分野があった。これはいいかも、めんどくさい女っていうのは、男は確かに一番嫌がるものだろう。
「でも、やるしかない」
私は拳を強く握った。次に目指すは、『重い女』だ!!
夜まで部屋に閉じこもっていた私は、タイミングを見てお風呂に入った。そして出た後、ようやくリビングへと向かう。そこには理人さんが一人ソファに座り、テレビを眺めていた。格好は今日出かけたときのままだ。
私に気づき、笑顔で話しかけてくる。
「京香さん、もう入浴は済みましたか。夕飯をどうしようか考えていまして。でも入浴してしまったのなら、家で済ませましょう。何か頼みましょうか」
「そうですね」
「何を食べましょうね」
彼はポケットからスマホを取り出して検索しているようだった。私はゆっくりその隣に近づき腰掛ける。やや緊張してしまっているのはなぜか。それを必死に隠しながら、私は今思い出した、というように理人さんに声を掛けた。
「あ、そうだ」
「どうしました?」
「スマホを見て思い出したんです。明日からお仕事だと思いますが」
「ええ。京香さんもですよね?」
そう、二人とも明日から仕事が始まる予定だ。私は自社に、理人さんも八神に勤めに行く。
私は頷きつつ、なるべく淡々とした言い方で要件を伝えた。
「もし本当に結婚するとなったら、私の恋愛観も理解していただかないとと思って」
「ええ、もちろんです。何が重要ですか?」
「私、相手にはずっとかまってもらいたいんです」
理人さんは少し首を傾げる。そんな彼に少しだけ微笑みかけると、堂々と言った。
「結構嫉妬深いっていうか。平日も、必ず一時間に一度はラインしていただかないと」
「一時間に一度?」
彼の声が少し大きくなった、よしよし。そうでしょう、言ってる私も自分が何を発言してるのか分からない。こんなめちゃくちゃなこという女って実在するんだろうか?
「そうですね、まだまだほしいものはあるんです、今日は買い足りないから」
「僕もそう思ってました。また買いましょうね」
(買い足りないわけないだろ!)
ことごとく効かない攻撃に、私はため息をつくしかなかった。
家に到着し、まずは自室に籠る。慌ててスマホに入っていた計画を呼び起こした。嫌われるための言動一覧なるものを、まとめておいたのだ。
金をいっぱい使う宣言、家事は一切しない宣言、愛想なく過ごす態度、仕事を軽視している発言、この二日間で結構攻撃したつもりだ。でも、どれ一つ効いていないようだ。あの男、頭の中どうなっているんだ。
「どうしよう、全然うまくいってない」
頭を抱えてベッドに横たわった。
朋美の弟から聞いた、『結婚したくない女一覧表』は結構クリアしている。このままでは本当に結婚の話が進んでしまうかもしれない。だめだ、断固として止めなければ。
私はスマホの画面をスクロールする。もう金にがめつい作戦は捨てよう、違う方向で行かなければ。
もっと理人さんが困るようなこと。怒って、勘弁してくれと願ってしまうようなそんな私を作り上げなければ。
「あ、こういうのはまだやってないぞ」
一覧表に、手を出していない分野があった。これはいいかも、めんどくさい女っていうのは、男は確かに一番嫌がるものだろう。
「でも、やるしかない」
私は拳を強く握った。次に目指すは、『重い女』だ!!
夜まで部屋に閉じこもっていた私は、タイミングを見てお風呂に入った。そして出た後、ようやくリビングへと向かう。そこには理人さんが一人ソファに座り、テレビを眺めていた。格好は今日出かけたときのままだ。
私に気づき、笑顔で話しかけてくる。
「京香さん、もう入浴は済みましたか。夕飯をどうしようか考えていまして。でも入浴してしまったのなら、家で済ませましょう。何か頼みましょうか」
「そうですね」
「何を食べましょうね」
彼はポケットからスマホを取り出して検索しているようだった。私はゆっくりその隣に近づき腰掛ける。やや緊張してしまっているのはなぜか。それを必死に隠しながら、私は今思い出した、というように理人さんに声を掛けた。
「あ、そうだ」
「どうしました?」
「スマホを見て思い出したんです。明日からお仕事だと思いますが」
「ええ。京香さんもですよね?」
そう、二人とも明日から仕事が始まる予定だ。私は自社に、理人さんも八神に勤めに行く。
私は頷きつつ、なるべく淡々とした言い方で要件を伝えた。
「もし本当に結婚するとなったら、私の恋愛観も理解していただかないとと思って」
「ええ、もちろんです。何が重要ですか?」
「私、相手にはずっとかまってもらいたいんです」
理人さんは少し首を傾げる。そんな彼に少しだけ微笑みかけると、堂々と言った。
「結構嫉妬深いっていうか。平日も、必ず一時間に一度はラインしていただかないと」
「一時間に一度?」
彼の声が少し大きくなった、よしよし。そうでしょう、言ってる私も自分が何を発言してるのか分からない。こんなめちゃくちゃなこという女って実在するんだろうか?