宝物がひとつ、またひとつと増えてゆく。

そのたびに更新されなくなる日が来るのかなって、同じくらいの不安が近くにある。


でもそれを見ないようにして過ごすのは、きっとどのカップルだって同じこと。

同じこと……だよね?



「どう…?」


「……うますぎる」


「でしょ!?やったあ~!」


「パンケーキってこんなにふわふわになるものなの?これ、わたあめとか入ってない?」


「ふふっ、私も最初はそう思った!」



パンケーキは大成功。

私も初めて食べたときは、世の中にこんなにも美味しいものがあるんだと思ったほどだった。


少し隠れた場所にあるパンケーキ屋さんにて、千隼くんは私よりもナイフとフォークを動かす速度が早かった。



「ここ私のオススメなんだあ~」


「…誰かとよく来るの?」


「お姉ちゃんと、楓花と、お姉ちゃんとっ、……楓花と、お姉ちゃん…と」


「ふっ、」



ぷくっとわざとらしく膨らませてみる。

もっと楽しげに眉を寄せた彼氏は、嬉しそうにパクっとまたひとくち。



「李衣はお姉さんがいるんだ」


「うん!千隼くんは?」


「俺は一人っ子」


「そうなんだ~」