心臓はいつもどおり打っていて、健康そのものと言った感じだ。


しかしそんな私を見て由紀子はまばたきを繰り返した。


「楽しみなことがあるのに、苦しくなる? それって、その楽しみなことを考えすぎているせいじゃない?」


ズバリ図星をつかれて手の下で心臓がドクンッと大きく跳ねるのがわかった。


思わず由紀子から視線をそらせてしまう。


「あ、図星だ! そんなに楽しみなことってなに?」


由紀子が意地悪そうな笑みを浮かべて質問してくるので、左右に首を振る。


「別に、そこまで楽しみじゃないし」


「えぇ? さっきと矛盾したこと言ってる。さては私には言えないような楽しみがあるんだなぁ?」


グイッと顔を寄せて言われてたじろぐ。


これ以上否定すれば余計に怪しまれてしまうだけだ。


でも素直に言えばきっと『男子の家に行くなんてエッチ!』なんて言われてしまうだろう。


どうすればいいのかわからなくて結局は黙り込んでしまった。


「さてはデートだな?」


黙っている私に追い打ちをかける由紀子。