それは俺らの親友が。

 俺らの前で、天に還った最期(さいご)の姿だった。

 父さんも、望も、

 こいつが殺した。

        ◆

 
「うん、ごめん......ごめん」



 奇打が、そんな戯言(たわごと)を俺らに向かって言う。

 ごめん?

 家族が、死ぬことを............母親が死ぬことを望んでいる俺らに、

 『なんかあるでしょ、2人とも』

 『ま、言わなくてもいいんだけど............だれか死んじゃったの? 家族?』

 ってほざいたこと?

 そんなんで許されると思ってんのかよ。

 ......ああ、殺してやりたい。

 苦しめてやりたい。

 ふつふつと、そんな感情が()き上がる。



「......そんなんで」



 さーが口を開いた。



「許されるって思ってんの」



 許されない。

 母親が、父さんを望を殺したことなんて許されることじゃない。

 許されたらおかしいぐらいだ。



「............ねえ、大空、翼皐? ありがとう」



 は?

 思わず予想してないことを言われて目を見開く。

 なんなんだ......?

 ありがとうって何が?