それは、やがて。



「のぞむ——?」



 ぷっつりと途絶えた。

 心音がしなかった。

 弱くなって、消えていった。

 脈もさーがとっていたけど。弱くなっていって、消えた。

 俺がさーを祈るように見つめていると、さーが俺に向かって首を振る。

 体が。

 望の体が、だんだんと冷えていく。

 そ、っか。

 今日、雪だもんな。

 寒いよな。

 ああ、頭が働かない。

 分かってる。

 雪のせいで............天気のせいで冷えていったんじゃないのは分かってる。

 でも信じたくなかった。

 信じられなかった。

 さっきまで、笑ってたのに。

 冗談を互いに言い合っていたのに。

 いつもの会話をしていたのに。

 冷たくなっていく。

 望の体が冷たくなっていく。

 まるで、氷みたいに。

 その冷たさが。

 俺らの間に流れる感情が。

 こっちを見つめている母親が。

 望への、()()の合図を告げた。